甦る大東亜戦争の記憶遺産



◆8月15日は大東亜戦争敗戦から70周年。戦争体験者の方の多くが亡くなり当時の記憶は風化するばかりですが、その記憶を甦らせるようなものが二つ公開されたのは偶然ではないでしょう。その一つが昭和天皇の玉音放送原盤です。玉音放送は、終戦前日の昭和20年8月14日深夜、昭和天皇が宮内省内廷庁舎2階の御政務室で読み、隣室でNHKの技術職員が録音したものだそうです。

玉音盤

宮内庁、終戦告げる「玉音放送」のレコード原盤など公開(15/08/01)


◆こちらは地下防空壕の会議室付属室で、終戦の聖断を下した御前会議が開かれるなど終戦間際の重要な舞台だったところで、70年の歳月で見るも無残に朽ち果てています。

ご聖断


 地下防空壕会議室

◆いま「日本の一番長い日」という映画が何度も作られていますが、最も新しい作品が8日より封切される。当時、敗戦を認めたがらない軍部がこの玉音盤を強奪しようとして、宮内庁関係者との争いを描いたもので、とてもスリリングな物語です。

映画

◆そしてもう一つの戦争の記憶は71年前に造られた旧日本海軍の缶詰で中身は「赤飯」だそうです。
香川県土庄町のアートギャラリー「MeiPAM」の施設から、木箱に入った旧日本海軍の缶詰計17個が見つかり、ラベルには昭和19年に広島県尾道市で製造されて神奈川県の横須賀海軍軍需部に納入したことなどが記されているとのこと。

赤飯2

赤飯1

◆赤飯と一目でわかります。カチカチですが腐っているようには見えません。海軍は陸軍より贅沢ができたと聞いていますが、当時の水兵さんなら懐かしさを感じるでしょうね。

戦争の記憶と言えば、7月末に誰より戦前戦中の日本のことを鮮明に記憶しておられる、台湾の李登輝元総統の来日がありました。メディアはあまり取り上げませんでした。それは中国に遠慮してのことです。

本

◆李氏は戦時中「岩里政男」と名乗り、京都大学から学徒出陣し、名古屋の高射砲部隊に陸軍少尉として配属され、終戦を名古屋で迎えたという経歴の持ち主で、大の親日家です。

◆しかし「一つの中国」を国是とする中華人民共和国(中国共産党)は、李登輝氏を「台湾独立勢力の象徴的人物」として危険視し、李の訪日希望には査証を発給しないよう要求しています。日中友好条約を結ぶ際、台湾は中国の一部であるということを認めた日本政府にとって、李登輝氏を入国させるのは条約違反になるので、政府として大歓迎するわけにはいかないのです。

◆それでも李登輝氏は政界入り直後に日本の政治家と会談し、副総統時代にも査証発給の問題なしに訪日を実現しています。2001年4月、持病の心臓病治療の目的で来日しようとしたところ、中国の顔色ばかり窺う外務省や政治家たちは査証発給に反対しましたが、日本政府は人道的な措置として査証発給。この騒動を主な契機として同年12月に日本李登輝友の会が設立されています。それでも総理大臣と直接会談するのは憚られているようです。




安倍首相・李登輝氏会談 岸田外相「会ってないと思っている」

岸田文雄外相は24日午前の記者会見で、安倍晋三首相が来日中の台湾の李登輝元総統と23日に都内で会談したことについて「首相自身が『会っていない』と発言をされたと聞いている。首相がそう言っておられるので、私も会ってはおられないと思っている」と述べた。
http://www.sankei.com/politics/news/150724/plt1507240015-n1.html




◆犯罪者やテロリストならいざ知らず、かつては日本軍将校で日本文化に精通した親日家で、台湾民主化の英雄である李登輝氏の度重なる訪日の希望を、日本政府と外務省は拒絶し続けてきました。理由は中国共産党の恫喝に恐れをなしているからです。独立国家としての誇りがない、あまりにも惨めな態度と言わざるを得ません。

◆李登輝氏は、そのような屁たれ外交しかできない日本政府に有難い助言をしておられます。




「中国は領土拡張の野望むき出し」「日本統治で現代的社会へ変貌」 講演要旨編
キシャクラブ

訪日した台湾の李登輝元総統(92)が7月23日に都内の日本外国特派員協会で行った講演と記者会見を詳報する。講演の要旨は以下の通り。

 中国は領土拡張の野望むき出し

 「今日は2007年6月以来、8年ぶりにこちらで講演する機会を頂き、大変光栄だ。この8年間で中国は経済的にも発展を遂げ、国際社会における発言力を増してきたと同時に、ますます領土拡張の野望をむき出しにしている。世界の政治の方向性を指導する立場にあった米国の発言力が落ちていることと無関係ではない。グローバルなリーダーの不在。国際秩序が崩壊したともいえる。こうした混沌とする時代に直面し、常に私の頭を離れることがないのはわが台湾の行く末についてだ。今日は『台湾の主体性を確立する道』と題してお話ししたい」

 「台湾は移民で構成された社会だ。有史以前から台湾の平地や山地に暮らしていた原住民、中国の福建などから海をわたってきた漢人、客家とよばれる人々、そして戦後になって中国大陸から渡ってきた外省人たちを主として構成されている。その一方で400年間に6つの外来政権によって統治され、清朝時代には『化外(けがい)の地』として版図にさえ組み入れられない時代もあった。1895年、下関で日清戦争の講話会議が開かれ台湾の割譲について話し合われたが、日本側の代表である伊藤博文に対し、清朝側の李鴻章はこういったという。『台湾は非常に治めにくいところだ。3年に1回は小さな難が、5年に1回は大きな難が起きる。清朝の管理の行き届かない化外の地だ』」


日本統治で現代的な社会へ変貌


 「それに対し伊藤博文は『台湾は日本が引き受ける』と割譲を受け、その言葉通り台湾はその後の日本統治50年によって前近代的な農業社会から現代的な社会へと変貌を遂げることになる。ただ現代においても台湾が移民社会であることは変わっていない。総統時代の私にとって、エスニックグループの対立は何としても解消しなければならない問題だった。それまでのように本省人や外省人、原住民などと台湾の人々自らが区別していては、台湾人としてのアイデンティティーの確立など不可能だ。当時の私は、これからの台湾は祖先の生まれた場所が異なる人々の枠を取り去り、新しい国をつくりあげていくよう導いていかなければならないのだと、背筋の伸びる思いがした」

 「1994年の春、私がまだ現役の総統だったころ、作家の司馬遼太郎先生が台湾を再訪問された際に対談をしようということになった。どんなテーマでお話ししたらいいだろうと家内に相談したところ、『台湾人に生まれた悲哀』というテーマはどうだろうとなった。400年以上の歴史をもつ台湾の人々は、台湾人として生まれながら台湾のために何もできない悲哀がかつてあった。私は台湾に生まれ、台湾で育ち、台湾のために尽くしてきた。そんな私にとって故郷台湾への思いは尽きることがない。同時に台湾の人々がこれまで長期にわたり外来政権によって抑圧されてきたことを思うと憤慨せずにはいられない。私はこれまで、台湾がいつの日か主体性を確立させ、台湾の人々の尊厳が高まることだけを望んできた」


葛藤が生んだ“悟り”


 「私は政治の世界に入り、最終的には総統を12年務めるという偶然のチャンスを得ることになったが、そこで台湾のために全力で働こうと決心した。外来政権の統治から解き放ち、自由な国へ。そして台湾人として生まれた悲哀を台湾人として生まれた幸福へ。これこそ私が人生をかけて力を注いできた目標なのだ。

1945年、台湾を統治した外来政権たる日本は大東亜戦争に敗れ、台湾を放棄した。台湾は勝利者である米英などによって中国国民党の占領下に置かれることになり、中華民国という別の外来政権による統治が始まった。ただ50年におよぶ日本の統治により著しく近代化された台湾にとって、文明水準の低い新政権による統治は当然のごとく政治や社会における大きな負の影響を及ぼした」

 「それまでの外来政権、例えば日本時代には台湾人は日本人と比べ差別対応を受けていた。しかし中華民国は、台湾が『祖国に復帰した』とたたえ、台湾人を『同胞』と呼びつつも、やはり二等国民として取り扱っていた。その後、(中国国民党政権が台湾住民を弾圧した47年の)2・28事件の発生を受け、台湾人自身が台湾人とは何かという反問を徹底的に繰り返すようになると同時に、外来政権ではなく自分たちの政権による主体性を確立しなければならないと悟った。そうでなければ台湾人として独立した存在になることができないからだ」

 「こうして新しい時代の台湾人としての自覚が覚醒していった。そうした意味では台湾人による強固なアイデンティティーの確立は外来政権による統治下の産物と呼べるかもしれない。当時、台湾人はふたつの外来政権の間の境界線上に立っていた。そうした状況は私の自我意識の形成にも非常に大きな影響を与えた。最初は日本人、その後は中国人という二種類の姓、ふたつの世界、ふたつの時代という境界に生きる人間なのだと意識せざるをえなかったからだ」


新台湾人とは


 「新しい時代の台湾人とは、決して総人口に占める割合が多い民族グループが主体となって台湾民族を構成するということではない。一視同仁の観点に基づき、すべての人々が平等な公民であるとみなされるべきだ。この新しい時代に、台湾で生活する2300万人の人々は精神改革に取り組み、新たな意識を持たなければならない。新しい時代の台湾人という自覚をもつことで、ここに初めて自分が何者かというアイデンティティーを確立することが可能となる。その結果、台湾の民主化は一層深まり、さらに新しい民主的かつ自由な台湾がつくりあげられることになるだろう」


 リー・クワンユー氏との思想とは全く異なる


 「中国の『託古改制』は、古に照らして制度を改革するという旧態依然とした制度を重んずる考えだ。中国の歴史をひもとけば、脈々と帝国体制が受け継がれてきた。こうした体系こそが中国式の『法統』だ。この法統から外れたものが化外の民であり、夷狄の国々なのだ。中国はいまだに進歩と退歩を絶え間なく繰り返している政権に過ぎない」

 「中華人民共和国はその源をソビエト共産党に発するものの、中国という土地に建国された以上、中国文化の影響から逃れることはできない。共産革命が中国にもたらしたのは、まさに中国伝統の覇権主義の復活であり、誇大妄想を有する皇帝制度の再来だった」

「今年3月、シンガポール建国の父といわれたリー・クワンユー氏が亡くなられた。私と同じ年齢ということもあり何かと比較の対象になったが、はっきり申し上げたいのは、リー氏と私の思想はまったく異なるということだ。『文明の衝突』を著したハンチントン教授は『李登輝が死んでも台湾の民主主義は残るが、リー氏が亡くなればその制度は失われる』と評した。まさにリー氏がとったのはアジア的価値であり、同族支配体制である。私が推し進めたのは自由と民主を尊重する世界的価値だった」


 アジア的価値からの離脱


 「ここで私は新しい改革の方向性として『脱古改新』という思想を提唱したい。古を脱し、新しく改める。つまりはアジア的価値からの離脱ということだ。中国の法統による『託古改制』はもはや近代の民主化の潮流に見合わないことは明らかだ。脱古改新の目的はアジア的価値を捨て去り、中国式法統による呪縛から逃れ、台湾を主体性ある民主国家にすることにある」

http://www.sankei.com/premium/news/150801/prm1508010012-n1.html




◆福沢諭吉の脱亜論を彷彿とさせる講演です。中華思想から抜け出せない中国共産党は世界の鼻つまみになっています。

西太平洋で無法な軍拡をする中国に、米国は本気になって日米豪を核としたベトナム、フィリピンなどの連合軍を組織しようとしています。

◆李氏はご老体ながらお元気な様子で訪日最後の日に3,11の被災者激励に宮城を訪問したそうです。




李登輝元台湾総統が宮城訪問、震災慰霊碑に献花 
李登輝2

 宮城県岩沼市の「千年希望の丘」を訪れ、被災者を激励する台湾の李登輝元総統(右)=26日午後(共同)

来日中の台湾の李登輝元総統(92)は26日、東日本大震災のがれきで造成した宮城県岩沼市の「千年希望の丘」を訪れ、慰霊碑に献花し、被災者と交流した。

 被災地訪問を望んでいたという李氏は、慰霊碑に深々と一礼して花を手向け、鎮魂や記憶の意味が込められた鐘を鳴らして犠牲者を悼んだ。菊地啓夫市長から震災や復興状況の説明を受け「大変だったと思うがよく頑張ってくれました。ご苦労さまでした」と話した。

 李氏は「生きるためには奮闘すべきだ。津波対策として海岸地帯の植樹をやらないといけない」と述べ、被災者の手を握って激励した。市内の50代女性は「元気をもらった。みんなで協力して良い町にしていきたい」と語った。
 21日に来日した李氏は6日間の日程を終えた。

http://www.sankei.com/world/news/150726/wor1507260028-n1.html




◆1945年8月6日には広島市、同9日には長崎市に原子爆弾が投下されました。広島では十余万人、長崎では7万人を超す死者が出て、残った被爆者たちは今もなお苦しんでいます。以降この両日を忘れてはならない過去として刻むため、広島・長崎それぞれについて原爆の日、または原爆忌、原爆記念日としていますが、マンネリ化と形骸化が進んでいるような気がします。戦争の語り部たちもどんどん数が減っています。

◆70年前の戦争の記憶が風化してゆき、戦争を知らない世代ばかりになっています。この夏、危機意識のない極楽とんぼの国がどれほど危険な状況に置かれているのか、一人ひとりが考える時ではないでしょうか。

▼子供に近現代史を教えんといかんにゃあ~

子持ちのやくざ猫



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「"アジアの思想"からの脱却」については、個人的に色々と思う所があるので複雑な所ですがね……

まぁ、少なくとも中共と大概の中国人の有り様は所謂「"古臭い"アジア的思想」から見ても
確実に不適切この上無いのは確かなんですが。いったいどうなっているんだ
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