疾風怒濤の日々でした。



◆連れ合いが顔面帯状疱疹を発症して48日になります。この間ずっと看護と食事の支度をして看護師さんたちのご苦労をつくづく身をもって感じました。痛い痛いというばかりで食事には手も付けず、水ばかり飲んでいるので、何とか栄養が付くものをと薬局でアミノ酸やビタミン類が入ったジュレパックを何種類も買ってきて飲ませようとしましたが、これも口にしません。痛みが多少和らいだ時はわずかばかりの粥と副菜を口に運びますが、そのような状態が続き段々衰え、ふらついて歩行も困難になっていました。

◆それでも皮膚科から紹介されたペイン・クリニックに3日置に通院していましが、一向に痛みは取れず、医師はだんだん不機嫌になったらしく「痛みは和らいだ筈だけど、年を取ると痛みの具合や加減もわからんのかね」と云われたそうで、連れ合いは随分怒っていました。

◆ペイン・クリニックでは麻酔で痛みを取るという対処療法しかしないので、体力的に限界が来ているので、総合病院に入院するしかないと判断した私は、医師に、紹介状を書いてくれませんかと相談したところ、「入院したら退屈ですよ、それに体は動かしたほうがいいから」と云われる始末。激痛より退屈の方がどれだけいいか、この医者は患者を逃すのが嫌だったのでしょう。これは私の初動ミスでした。帯状疱疹は命に係わる病ではないと軽く考えていたので、こういう結果になったのです。

◆18日に通院の予約を取って帰宅、連れ合いは肩で息をするようになり、寝てばかり、クリームスープもカップ半分しか飲めない状態です。

◆そんな時、だいぶ年の離れた従兄から義母が亡くなったという電話がありました。私にとっては伯母になりますが長いことアルツハイマーで施設のお世話になっていました。通夜は15日、葬儀は16日とのこと、従兄夫婦には子供がいませんし、親族といえば私と連れ合いくらいのものです。

◆生きて居るのがやっとやっとの老夫婦だけでは通夜も心もとないだろうと、連れ合いを娘に頼んで車で100キロの道を走り、葬儀社に駆けつけました。この日は他の通夜もないようで、広間にポツンと伯母の亡骸がおかれ。足元に従兄夫婦がひっそり座っているという、なんとも言えない侘しさ。葬儀社の担当もたった一人。白布を取り、伯母の顔を見ると、人相は生前とは全く違う人物のようでした。蠟のように白く透き通た皮膚感片目を見開き。入れ歯を取った口はぽかんと虚ろに開いたまま。葬儀社の担当は、このまま納棺するという。


◆納棺は読んで字のごとく遺体を棺に納める作業のことです。映画「おくりびと」をご覧になった方もおいででしょうが、納棺師とか湯潅師という職業があります。
通常なら湯灌を始め、着せ替えやメイク、エンバーミング(防腐処理)等も含まれることもあります。一方で湯灌とは遺体を入浴させ、洗浄する作業のことですが、簡易には遺体を清拭することで済ませる場合が多いようです。男性の場合は髭剃り、女性の場合はメイクが含まれます。

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◆しかし、この最安値プランでは湯潅師費用を省いたため、家族がそれをやらされる羽目になりました。シーツの四隅をつかんで遺骸を棺桶にいれ、手甲、脚絆、白足袋、経帷子をつけ、頭陀袋に紙の6文銭をいれるなどの作業をさせられ四苦八苦でした。地獄の沙汰も金次第とはよく言ったものです。

◆それでも、何とか納棺が終わり、お坊さんが来るにはまだ2時間ほどあるので、先に夕食でもということになったが、家族葬でも一番安いプランを選んだようで、すべてがセルフサービスです。仕出し屋に弁当を頼むでもなく弁当屋と酒屋を探すこと20分。3人分の弁当とビール、日本酒5合瓶1本買って帰り弁当を食べてまもなくお坊さんが到着。10分ほどの読経で焼香、そして更に20分の読経とお説教でお開き。

◆坊さんが帰った後、ビールと日本酒をのみ始めましたが連日の疲れのため酔いが早く回り、布団を敷いて泥のように眠りました。

◆翌日は6時に起床、朝飯は何が好いかと従兄夫婦に聞くとコンビニのメロンパンだけでいいとのたまう。実に経済的というか安上がりな夫婦ですが、メロンパンと水だけという訳にもいかないので、カップみそ汁とおにぎりをプラスして買ってくると、全部きれいにお召し上がりないなりました。私はいつもは食べないカップラーメンを食べたところ案の定吐き気がして、塗炭の苦しみです。そこで今度は薬屋へ走り胃薬と目薬を買って、どうやら苦しみは和らぎましたが、気分は最悪でした。

◆葬儀は12時に終り、霊柩車といっても、葬儀社たった一人の担当が運転する廃車のようにデコボコのポンコツ ハイエースで従兄夫妻は位牌と写真をもって同乗。私は自分の車で後を追い、その後ろにお坊さんがついてくる。焼却炉に入れる前に引導を渡す意味があるのでしょう。

◆火葬は1時間ほどで終るそうで、その時間を利用して昼飯にしようと言うことになり、火葬場の売店でカレーライスか、ラーメンか、ウドンか、そばしかないというので、3人が選んだのは掛けそばでしたが、汁はぬるく、麺は伸びていて味はひどいものでした。

◆伯母の骨が炉から出され収骨が始まります。骨真っ白だがボロボロになった骨が伯母の長年の闘病生活を物語っていました。喪主夫婦が箸渡しで足元の骨の一部から、腰、胸、両手、頭のほうへ順次拾い上げ、骨壺がいっぱいになったところ、頭頂部の骨を蓋のようにかぶせて完了。

◆従兄夫婦は私の車で再び葬儀場へ戻りました。初七日の法事を行うためです。またここで30分の読経とお焼香。またこのお坊さんの声が野太くて頭に響くくらいの大音声なので、相当疲れます。たった3人しかいないので耳元で怒鳴られていいるようです。もう少しボリュウムを落として欲しいところですが、そんなことは言えません。

◆浄土真宗のお経の中に「白骨の章」というものがあります。

それ、人間の浮生(ふしょう)なる相をつらつら観ずるに、おおよそはかなきものは、この世の始中終(しちゅうじゅう)、まぼろしのごとくなる一期なり。さればいまだ万歳の人身をうけたりという事をきかず、一生過ぎやすし。

今にいたりてたれか百年の形体をたもつべきや。我や先、人や先、今日ともしらず、明日ともしらず、おくれさきだつひとはもとのしずく、すえの露よりもしげしといえり。されば朝(あした)には紅顔ありて、夕べには白骨となれる身なり。

すでに無常の風きたりぬれば、すなわちふたつのまなこたちまちに閉じ、ひとつの息ながくたえぬれば、紅顔むなしく変じてよそおいを失いぬるときは、六親眷属(ろくしんけんぞく)あつまりてなげきかなしめども、更にその甲斐あるべからず。

さてしもあるべき事ならねばとて、野外におくりて夜半けぶりとなしはてぬれば、ただ白骨のみぞのこれり。あわれというもおろかなり。されば人間のはかなきことは、老少不定(ろうしょうふじょう)さかいなれば、たれの人もはやく後生の一大事を心にかけて、阿弥陀仏をふかくたのみまいらせて、念仏申すべきものなり。あなかしこ、あなかしこ。



◆お坊さんはこの白骨の章の神髄を、お説教にして人間の命は明日をも知れぬものであるから、一切を阿弥陀様にお任せしてお念仏だけを唱えなさい、そうすればどんな人でも阿弥陀様が救ってくださると幾度も力説していました。法事が終わったのが夕方4時近くで、また山坂超えて100キロの道を戻らねばなりません。連れ合いのことが気になり、着替えもせず喪服のままわが家へ。

◆家に帰り着いたのはすっかり暗くなっていました。病人の様子は相変わらずで、痛みに我慢ができない様子です。ペイン・クリニックで対処療法を続けても体力を消耗し弱るばかりです。紹介状が無くても明朝総合病院の麻酔科に電話で院依頼をする決心をして、焼酎の水割りを飲んでいるうちにソファに倒れ込み爆睡して目が覚める御前10時。慌てて総合病院の麻酔科に電話すると看護師が出て、今かかっているお医者さんの紹介状が必要ですが、という。

だから、ペイン・クリニックで言われた通り「入院すると退屈だ、動いていたほうが体にいい」といわれたことを告げると、では先生に伺ってみますとの返事。しばらく待っていると、運よく「では午前中に診察に来てください、入院するかどうかはそれから決めましょう」との朗報。さっそく寝ている連れ合いを叩き起こし、て病院へ。

◆総合病院はどこも患者がひしめいていますので、1時間以上待たされ、血液検査、心電図、レントゲンと3つの検査を行い、その結果が出るまでまた1時間以上かかりましたが、主治医の診断では電解質(ナトリウム、カリウム、カルシュウム)などが極度に不足していることがわかり、それで即入院が決定しました。このまま放置していたら重篤な事態になっているところでした。今点滴を受け、わずかながら回復に向かっているようです。

◆私も癌で胃を全摘出していますので、いま体重が15キロ減って50キロを切っていますがこの数日で更に45キロを切ってしまいました。まあいづれ白骨と化す身なれば阿弥陀様にお念仏申すことにしましょう「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」

▼これでやっと一息つけるニャア

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お察しいたします。
東京女子医大病院に「帯状疱疹」後の神経痛等に力を入れてる科があると思います。
早く良くなられますようにお祈りいたします。
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